無理矢理参加させられた合コン

08.01.13 / Author:

「先輩!そろそろ彼女欲しいんじゃないんですか?」

俺のツイートを見た後輩がこうリプしてきた。

「デートしてねーなー」

と何の気なしにボソッと呟いたら、すかさず返してくれたのだ。
俺はデートがしたかったわけではないが、「たまにご飯に付き合ってくれるだけの女性でもいたら心が潤うのにな」と思うことが多くなっていた。
仕事が忙しくて彼女を作りたいという気にはならなかったのだが、都合良くプライベートを一緒に過ごしてくれる相手くらいは欲しかった。
心が荒んでいたから、女性からの癒しが必要だなと思っていたのだ。
そういう意味であったのにもかかわらず、かれこれ3年ほど彼女がいない俺が寂しいと思っているのだと勘違いしてくれたのだ。

俺は特にそれに関してはスルーしていた。
答えるほどでもないかなと思っていたのだが、後日こんなメールが届いた。

「○月○日に合コンを開催します。先輩は強制参加です」

気持ち悪い事にハートマークが3つもついていた。
内心「ふざけんなよ、コイツ」と思ったものの、こうやって俺の為に動いてくれた後輩の気持ちは有難いと思った。
でも、やはり乗り気にはなれなかった。

「ありがとう。でも、俺は彼女が欲しいわけじゃないし、合コンに参加するほどの心の余裕がないんだ。ちょっと病み気味」

そう返しておいた。
すると、すぐに電話が掛かってきた。
癒されたい願望があるのは分かっていたから、癒し系の女性ばかりを集めたと言うのだ。
気が利く後輩だと思ったけれど、少なくとも合コンは出会いの場だ。
女性だって彼氏候補を探しにやってくるに違いないのだ。
そこにやる気のない俺がいたとしたら?
俺が逆の立場だったら「じゃあ、なんで参加したんだよ」と思ってしまう。
こういうのはもう少し気持ちがフラットな状態の時にやりたい。
そうやんわりと断ってみたが、いつもはソフトな後輩が頑として「絶対に来てください」と譲らなかった。

渋々と重い腰を上げて、指定された日に合コン会場へ向かった。
その日は本当に疲れていたが、その場だけでもやり過ごそうと頑張った。
でも、そういう時は結構表情に出てしまうものだ。
ふとした瞬間に真顔になってしまう時があり、一生懸命話しかけて来てくれた女性に「少しお疲れみたいですね」と言われてしまった。
彼女はとてもいい人で、「私は今婚活中なんですけど、結婚相手を探すのって結構疲れるのです。今日は出会いとは関係なく飲むつもりでやってきました。だから、一緒にこの時間を楽しみましょうよ」と言ってくれた。
女性に気遣わせてしまうなんて、俺は本当に最低な男だ。

しかし、この彼女のような良い人でも婚活をしなければいけないんだなと、改めて現代の結婚や婚活事情について考えた。
俺もそうだが、相手のいない男女は世の中にたくさんいるのだ。
そんなにたくさんいるのなら逆に結婚相手なんていくらでもいると思えそうだが、実際は結婚に発展するような出会いなんて日常生活の中では皆無らしい。
彼女は酔っぱらって気持ちよさそうな顔をしながらそういった。

彼女は普段ホワイトキーというお見合いパーティーでもっぱら婚活をしているらしい。
気がつけば俺は、こんな彼女のような女性が参加しているようなお見合いパーティーなら参加してもいいな、と思い始めていた。
いや、それは遠回りすぎる表現かも知れない。
彼女のような女性ではなく、彼女がいいのだと感じ始めている自分に気付いた。
彼女の方もまんざらじゃないのではないかと、ちらりと横目でみやったが、ちょっとハイな感じになっている今のテンションからそこは計り知れなかった。

その後どさくさまぎれに彼女と連絡先交換をし、その場はお開きとなった。
ふと気付くと合コンに誘った後輩は、「してやったり」のどや顔をしている。
なるほど、あいつは彼女を俺と引き合わせたくてこの合コンをしくんでくれたのか。
その時にやっと分かった気がした。

悔しい。
といつもの俺なら思うはずなのに、今日はなぜかそんな気持ちにはならない。
思いの外俺は彼女のことを気に入っている。きっとそういうことなのだろう。
もし付き合うことにでもなったら、後輩にご飯でもごちそうしてやらなきゃいけないな。
そう頭によぎった後、すっかりその気になっている俺に自分自身で苦笑する。

うん。
半ば無理やり参加させられた合コンだったが悪くない。
久しぶりに恋愛でもするか!

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